ゆうき耳鼻科院長のBlog

大阪府 茨木市でH23年1月に新規開業しました。 耳鼻科の診療機器の開発や、滲出性中耳炎や耳管開放症については専門的治療を行っています。

かぜシーズンのお願いごと(1日に3回以上病院を受診するのはやめましょう)

ここ数日朝晩の寒暖差が10度以上と、すっかり秋が深まってきた感じです。コメント 2019-10-10 114733.jpg
寒暖差があると、調節が難しいので風邪をひく方もぐっと増えてきます。そしてまたインフルエンザの流行も始まってくるかもしれません。

そこで、急な発熱があったときに気をつけたいことを書いておきたいと思います。

先日、子供さんが朝から38度の発熱があったとのことで受診された方がおられました。

その方は、朝一で別の小児科医院を受診され、
「風邪ですね」
とのことで内服薬を処方されたそうですが、中耳炎が心配とのことで受診されました。中耳炎はなく、ウイルス性の風邪と思われましたでの、「小児科さんの薬飲んでゆっくり休んでくださいね」で終わりました。(鼻を見られるのが苦手て泣き叫んでおられましたが...)

ここまでは心配もごもっともでいいのですが、帰宅後39度に熱が上がり、インフルエンザも心配とのことで、再度夕方当院を受診されました。

インフルエンザであっても基本的には抗ウイルス薬は処方しないことを説明しましたが検査を希望されましたので、嫌で泣き叫ぶ子供を押さえつけての検査となりました(結果陰性でした)。

子供が発熱すると心配なのはよくわかります。ただ、1日に3回以上病院を回るというのは、大人の方でもとても疲れます。ましてや病院を怖がることが多い乳幼児にとっては、病院で診察検査を受けるというのは大人以上に大きなストレスだと思います。風邪をおして寒い中激しい運動して、結果こじらせてしまうのと同じことです。

39度の発熱があって、寒い中あちこち行って、強いストレスを受けたら当然免疫力は低下します。結果こじらせ、中耳炎、肺炎、髄膜炎など重症感染症に至るリスクを高めてしまいます。

急な発熱でも、

  • 呼吸困難
  • 意識障害、痙攣
  • 水が飲めない
  • 免疫抑制剤を飲んでいたり、心疾患、糖尿病などの合併症がある

などの症状がなければ、仮にインフルエンザであっても薬なしで治る場合がほとんど(抗ウイルス薬を使わないほうが強い免疫ができます)ですので、まずは焦らず水分をとって安静にして様子を見ることが大切です

発熱等体力を消耗する病気の方は、1日に3回以上病院をはしごするのはとても危険な行為ですので、ぜひともやめましょう。

結果論にはなりますが、先程の方の場合上記の症状がないので、家で暖かくしてゆっくり休んでおけば高熱に苦しむこともなかったかもしれません。仮にインフルエンザだったとしても、寒い中強烈なストレスを受けつつ検査して薬をもらうのと、家でゆっくり休んで自分の免疫力で治した場合では、おそらく治るまでの期間に差はないのではないかと思います(抗インフルエンザ薬はプラセボ比較で24時間程度の発熱機関の短縮効果しかない)。それ以上に、肺炎髄膜炎などの命に関わる重症感染症のリスクを増やしてします。

安静も薬以上に大切な治療ですので、まずは冷静に対応しましょう。

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