滲出性中耳炎
滲出性(しんしゅつせい)中耳炎とは、5才以下の子供に多く見られる耳の病気で、本来空気がたまっているべき「中耳」(鼓膜の奥の空洞)に、液体(滲出液)がたまった状態をいいます。
この液体は外(耳の穴)から入ってものではなく、中耳の炎症によってしみ出てきたものです。
お風呂やシャワーで耳に水が入ったわけではありません。
【見逃されやすい】
滲出液がたまると聴力が悪くなるので、
- テレビの音が大きい
- 呼びかけに応じない
などの症状が起こりますが、痛みがないので、なかなか気付かれないことがよくあります。
【治るのに時間がかかる】
滲出性中耳炎は症状も軽微で、自然に治ることもありますが、中には「癒着性中耳炎」や「真珠腫性中耳炎」に移行して手術が必要になる例もあります。
また、滲出性中耳炎が完治していないと、何度も急性中耳炎を繰り返し難治化したり、言葉の発育が遅れたり、耳の骨の発育が遅れて、大人になっても中耳炎を繰り返す耳(慢性中耳炎)になってしまうことがあります。
完治するまで早くて2週間、長くかかる場合には6ヶ月くらいかかる場合もありますので、根気よく治療を続けることが大切です。
【原因】
- 急性中耳炎などの強い炎症が起きた後
- アデノイド(鼻の奥にある扁桃腺の一種)が大きい
- はなすすり
- アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎で鼻水が長い間出ている
が主な原因です。
成人にも時々見られますが、大人では上咽頭腫瘍が原因になっていることもありますので、鼻腔からの内視鏡検査が必要です。
【治療】
- 保存的治療:
- 耳管通気(鼻からゴム球で空気を通す)
- 鼻の処置、ネブライザー(吸入)
- 薬:
- 去痰剤(ムコダイン)
- マクロライド系抗生剤(クラリシッド)
- 外科的治療:
- 鼓膜切開術
- 鼓膜換気チューブ挿入術
などがあります。
当院では、次のページにあるとおり、まず1、2の方法を3-6ヶ月続けてみて、効果がなければ3を検討するようにしています。