関西中耳臨床研究会で下記の口演をしてきました。
台風の中お越し下さいましてありがとうございました。
ブロー氏液の驚異
TRT療法(耳鳴に対する音響療法)
耳鳴の治療は難しく、ビタミン剤、循環改善薬、ステロイド剤、精神安定剤、漢方薬、リドカインの注射、針治療など様々な治療が行われていますが、いずれの治療でも完治はなかなか難しいとされています。
当院でも上記の治療に加え、近年有効性が認められつつある音響心理療法:TRT療法を始めています。
この治療法では、左図のようなノイズ発生器をつけていただき、耳鳴りを気にならないように持って行く心理的な療法です。ただ、これによって耳鳴りが消えてしまうものではなく、
「鳴っているけど気にならない」状態
に持って行く治療法です。
注意点としては、
- 難聴がひどい人には適さない
- 治療には1,2年の時間が必要なので、すぐに効果を期待される人には向かない
- 耳鳴がなくなるわけではない
- サウンドジェネレータは5万円弱と高額である
などをご理解いただく必要があります。
たとえば、エアコンの音などは耳を澄ませば聞こえますが、普段我々はあまり気にせず生活できます。耳鳴に対してもそのような状態に持って行くのがこの治療法の目的です。
当院ではまず2週間ほど試してもらい、続けられそうなら購入いただいて治療を続けていくことにしています。
耳鳴でお困りの方は一度ご相談下さい。
(補聴器・TRT外来用のスペース→)
中耳炎に鼓膜切開は必要か?(子どもの場合)
「中耳炎で鼓膜を切って膿を出さないといけないといわれたんですけど、本当に切らないと治らないんでしょうか」
と意見を求めて受診される方がよくおられます。
結論から言いますと、私の意見としては、子供の中耳炎で鼓膜切開を要するものはきわめて少ない、という立場です。
もっとも、中には鼓膜切開を要するケースもありますが、子供の中耳炎に限っては、年間で鼓膜切開をするのは1人いるかいないかです。
小児の場合、鼓膜切開を検討すべき中耳炎は大きく分けて2種類あります。1つは鼓膜の奥に膿がたまって腫れて痛くなる「急性中耳炎」、もう一つは、鼓膜の奥に水がたまって、痛くはないけど聞こえにくい「滲出性中耳炎」です。
それぞれの場合について考えてみましょう。
赤外線フレンツェルめがねの眼振記録に、頭位データを表示する
当院にも赤外線フレンツェルめがねという水中めがねのような器械がありますが、動画を録画するのみでは、どの頭位の眼振かがわかりません。
そこで、眼振記録動画に加速度センサーからの頭位情報を合成する装置を作ってみました。
将来的には、この装置を改良して、良性発作性頭位めまい症のリハビリ(浮遊耳石置換法)を自動化する器械などを作ってみようと思っています。
耳管開放症治療
さて、当院では専門的治療としまして、耳管開放症治療に今後は力を入れていこうと思っています。
今ご用意している治療として、
- 漢方薬:加味帰脾湯、補中益気湯、半夏厚朴湯、柴朴湯、加味逍遥散などを体質に合わせて使います
- 耳管内薬液噴霧:当院オリジナルの薬液として、ルゴール+グリセリン+ジェルフォーム(ゼラチン)の混合液を用意しています。これをカテーテルを使って、鼻から注入します。
- 生理食塩水の点鼻:点鼻用器に生理食塩水を入れて処方しますので、これをご自分で使っていただきます。
- 鼓膜にテープを貼る:鼓膜の可動性を押さえます
これらが当院でできる治療です。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は5歳以下の子供さんに多いですが、5歳以上の患者さんが立て続けに来られました。
ほとんどの方は年齢と共に自然に治ることの多いこの病気ですが、10歳をこえると、大人になっても中耳炎を繰り返したり、癒着性中耳炎や真珠腫になるケースもありますので、ちょっと驚きです。
私が以前勤めていた摂津市でも、小学校の学校検診を回りますと、小学1年生で、1校あたり当初(6年前)は10人前後滲出性中耳炎のお子さんがおられました。
摂津市では、幼稚園や保育所でも耳鼻科検診がありましたので、滲出性中耳炎治療に力を入れましたところ、5年後には私が回った小学校(味舌小、別府小、味生小)の3校合わせて滲出性中耳炎の生徒が2人だけ(1年生だけで)になりました。
小学校の耳鼻科検診も大切ですが、耳のことを考えれば、幼稚園や保育園児の段階でなんとかしなければ手遅れになってしまいます。
今後の動向を見つつ、茨木市でも保育園や幼稚園の耳鼻科検診に力を入れていかねばなと思います。
耳管開放症のセルフチェック
それだけこの病気は多いということなんでしょう。
自分で「耳管開放症かも」と思った場合、下記が当てはまれば可能性は高いです。
- 自分の声が響く
- 寝ていると症状はまし
- 良くなったり悪くなったりを繰り返す
- 鼻をつまんでつばを飲み込む(耳抜きする)と、症状が悪化する
- 耳をふさぐと「ピー」とか「きーん」とか連続音(耳鳴り)が鳴っている
- 寝ても起きても症状に変化がない
耳管開放症の診断は難しいこともありますが、これらの自覚症状の有無をお聞きすれば、かなりの確率で診断はつけられます。
ALS人工呼吸器下の患者さんへの代用音声の試み その2(失敗編)
理由は、空気を口腔内に送り込めないので、「サ行」などの発音は困難を極めます。
そこで、水槽ポンプを100-200Hz位で駆動できれば、音と空気が同時に両方口腔内に入れることができるのではないかと考えて、上記のように水槽ポンプにソレノイドをつけて、12VくらいのパルスをMOS-FETでスイッチして入れてやりました。
が、結果は全くの失敗です。
そもそもソレノイドはそのような高周波数で使うものではなく、せいぜい1-2Hz 位の周期でないでポンプのゴム引き込めません。
もう一度やり直しですが、次はAC100Vで動く水槽ポンプを改良して、周波数変調できるか試してみたいと思います。