ノート
スライド ショー
アウトライン
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治療後敗血症を来した
顔面神経麻痺症例
  • 結城和央、北村守正、林正彦
  • (滋賀県立成人病センター)
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症例: 63歳女性
  • 左ラムゼイ-ハント症候群
    • 発症 2日目の平成11年8月19日当科初診
    • 顔面神経麻痺スコア  6/40点
    • 右向き水平眼振
    • 聴力:左39dB(右16dB)
    • 左外耳道から耳介にかけて疼痛を伴う水疱あり
  • →初診日から入院の上、ソルメドロール+ゾビラックスの点滴を開始した


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初回入院時の経過
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退院後の経過
  • 8/28(土) 退院当日の夕方より、39℃台の発熱、めまい、嘔気を自覚し当院救急外来を受診。
  • 来院時、GOT、GPTの上昇を認め、薬剤性肝障害を疑われ、再入院となる。


  • <再入院時(8/28)のデータ>
    体温:38.4℃、白血球 13200↑、
    血小板 9.3万↓、GOT 311↑、GPT 455↑
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再入院後の治療、経過
  • 再入院後、肝庇護剤(強ミノ、タチオン等)点滴、NSAID投与で様子を見たが、解熱せず。
  • 8/30(月): 強いめまい、意識レベルの低下、血圧の低下が出現。

    → 脳膿瘍、ヘルペス脳炎、敗血症性ショック、DICを疑い、頭部MRI、血液培養等精査
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検査結果と治療
  • 頭部MRI:異常所見なし
  • 静脈血、動脈血:大腸菌検出
  • 白血球11900↑,血小板 4.6万↓, PT12.6sec↑,FDP 6↑, D-D 2.4↑,ATIII 78↓
    CRP 27.3↑, GOT 37, GPT 208↑


  • → 敗血症、敗血症性ショック、DICと診断
    • フルマリン 4g+ダラシンS 1200mg /day、
    • FOY2000mg /day、ヘパリン5000u/day開始

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感染源の検索
  • 消化管系
    • 上行結腸に早期癌
    • 痔核
    • ステロイドによる腸管局所免疫の低下
  • ヘルペス症が発生するような低免疫状態
  • →大腸菌の血中への Bacterial translocation
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まとめ
  • ラムゼイ-ハント症候群に対してのステロイド療法後に、敗血症、DICを来した症例を経験した。
  • 治療を行う際には、重症感染症を起こす可能性を考慮しておく必要がある。